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ダミアン・ハーストにみられるネクロフィリア—死をこよなく愛する男―

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 ダミアン・ハーストと聞くと、サメなどのホルマリン漬けのシリーズを思い出す人が多いだろう。
 実際、ダミアン・ハーストはサメのホルマリン漬けのシリーズで大ブレークして、一躍トップアーティストの仲間入りを果たした。

 ダミアン・ハーストのホルマリン漬けのシリーズに関しては、すでにさまざまな言説が語られているし、またさまざまな感想がネット上に流通しているので、ここではあえてそれらは紹介しない。(長くなってしまうし)

 ここでは、わたしの個人的な感想を書きたいと思う。

 わたしが、ダミアン・ハーストのナチュラルヒストリーのシリーズ、すなわちホルマリン漬けのシリーズを観て感じるのは、ああそうか、この作者は、このサメ(などの動物たち)のすべてを、死に至るまで支配したいのだなぁということだ。

 ここで、ネクロフィリアという言葉を紹介したい。
 ネクロフィリアとは、一言で言うと、「死をこころから愛する」という意味だ。

 ダミアン・ハーストの作品を知っている人ならピンとくるのではないだろうか。
 そう、ダミアン・ハーストは、かなりのネクロフィリアだ。

 ネクロフィリア的な傾向を持つ人は、生きていないもの、死んでいるものすべてに惹かれ心奪われるという。
彼らが生き生きとするのは、死について話しているときだ。

 ネクロフィリア的な傾向を持つ人にとって、他人(動物含む)をその死に至るまで完全に支配することが、至上の喜びである。

 ダミアン・ハーストのホルマリン漬けの作品を観ていると、彼の声が聞こえてくるようだ。
「僕は、この強く美しいサメをすべて支配したぞ!!」
という誇らしげな声が。

 ちなみに、ユダヤ人心理学者のエーリッヒ・フロムによると、ネクロフィリアは悪である。
この心理学者を信じるなら、ダミアン・ハーストの作品が持つ魔力的な美しさは、悪の魅力である。

 それゆえか、トップアーティストでありながら、賛否両論分かれるダミアン・ハースト。(動物愛護団体などがうるさそうだ)
 わたしは、かなり、かなり好きである。

by song_of_eve | 2019-08-07 13:48 | 現代アート

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